シリコンバレーで学んだこと

学生さんからの問い合わせがSVJENには非常に多く、「シリコンバレーで活躍されている日本人の起業家と話がしたい!」というのが彼らの主な目的です。事務局としては、そういった学生さんたちのシリコンバレー訪問を可能な限り受け入れ、地元で活躍されている方とお話できるチャンスを提供したいと考えています。今回は、SVJENのChairmanであるB-Bridge 代表取締役社長の桝本氏が、超多忙なスケジュールにもかかわらず、九州大学の学生さん3名のシリコンバレー訪問を受け入れてくださり、お話いただきました。そのB-Bridgeを訪問された学生さんの一人である守永くんが、その時の模様をレポートにまとめてくれたので、ご紹介いたします。

 

 

シリコンバレーで学んだこと
                    九州大学理学部生物学科3年 守永一彦

シリコンバレーから帰ってきて1ヶ月以上がたった。時差ぼけもなく日本での生活にすぐに戻ることができた。今思い返してみると3月にアメリカに自分がいたことが非常に不思議に思える。地理的に離れているといっても約13時間飛行機に乗ればすぐにアメリカまで行ける。物理的な距離を越えて感覚的な距離ではアメリカは遠い国ではないということを感じた。しかし、日本とシリコンバレーはかなり違う文化・制度を育んでいるということも同時に感じた。この違いは現在という視点で言えば、シリコンバレーの活気と日本の閉塞感という違いを生んだと言える。しかし、この日本を現在の閉塞感にいざなった文化は今までの日本の成長を支えてきたものでもある。私はこの事象に対して虚しさを感じた。かつては世界の注目を集めていた日本が自国の育ててきた文化・制度によって世界から注目を浴びなくなってしまったという現在の状況に私は非常に残念にも思う。日本が現在そういった状況であるなら、若い私たちには何ができるのか、そしてどういった心構えでいなければならないのか。そういったことを考えることの出来る刺激的なお話を多く聞くことが出来た。

シリコンバレーで働いている方々、学生の方の話を聞いてみるとみんな自分が今やっている仕事、勉強が好きでたまらないというように思っているという印象があった。日本ではどうであろうか。私の勝手な偏見かもしれないが自分の仕事・勉強が好きでたまらないという人もいるとは思うのだが、今の仕事・勉強をいやいや行っている人も多く見受けられるように思う。一方でシリコンバレーにもそういった人はいるとは思うけれども、今回からの感じたことであるということは最初に言っておきたい。実際に自分はどうであるか、私は生物を学んでおり好きなのだが、シリコンバレーの学生のように勉学に励んでいるかというとそうではない。非常に恥ずかしいことであるが、良くも悪くも日本の大学生らしい生活を過ごしているように思う。だが、そんな生活の中に疑問を感じていなかったわけではなかったが、周囲に流されてしまっていた。講師の方や、日本人留学生の話によって自分の専門性、スキルセットをしっかりと持つということが非常に重要であることを強く認識することが出来たのは今回シリコンバレーで学んだことの中でも非常に重要なことであったと思う。

一方で専門性・スキルセットを持つということと同時に、T字人間になるという考え方も非常に印象に残っている。T字人間になるということは自分の専門以外の事柄にアンテナを張って様々なことに興味を示す姿勢が大事である。私にあてはめてみれば生物学の勉強をしているから経済に興味を示さない、政治に無関心といった状況ではいけない。更に細かく考えてみれば生物学の中でも自分の研究分野にしか興味を示さずに他分野のことには全く興味がないという状況に陥ってはいけない。人生はどこで何が繋がってくるかは予測することが出来ない。そうであるから様々なバックグラウンドを持つことでどんな状況にでも対応することが出来る人間になれるのだ。私は変革の中で置いていかれたくないと思う。そのためには変革についていけるようなT字人間になることが必須であると強く感じた。

今後の自分の人生設計については大分変化が起きた。必ず若いうちに海外で生活し、色んな国籍の人たちに囲まれて意見交換し、学ぶ・仕事する経験をしたいと思う。というのも、自分の持っている常識というものは日本だけで生活しているとそれは世界基準に合っているというものではない。自分がグローバルな人材になりたいと考えているため、自分の中の最低限の常識を世界でも通用するものにすることが必要なのだ。その上に成り立つ自分の考え方というものが自分の軸となり、判断基準になる。そして自分の将来についてしっかりとビジョンを抱いて進路選択をすることを考えている。私は理系学部に入ったために大学院に行くのは当然だと思っていたが、それではただ敷かれたレールの上を歩いているだけに過ぎない。自分でしっかりと大学院に行く必要があるかを考えようと思う。また、今回シリコンバレーで今後も揺るがないであろう私の軸というものを2つ固めることが出来た。

1つ目は自分が本当に楽しいと感じることをしようということである。楽しいというのはただ楽な道という意味ではない。苦しかったり諦めたくなったりすることであってもその過程すらも楽しめるということを意味している。そういった軸にあてはまることを自分のライフワークにすることが出来れば私にとっての成功を感じることが出来る。

そして、もう1つの軸は、ポジティブな選択をするということである。私は今まで消去法で選択してきたように思う。しかしそれではネガティブすぎるように感じた。これは1つ目の軸にも関わるのであるが、選択肢が2つある場合にどちらを選択するかという局面に立たされたとき、否定面を探して消去するのではなくどちらを自分が楽しめるのかということを基準に選択することでモチベーションも維持できると考える。

自分の中に2つの軸を確立することが出来ただけでも大きな収穫であると思っている。また、これからの生活に対してモチベーションが非常に高まった。今まで出来なかったような事柄を真剣に議論できる友人との出会い、未熟な私達学生を心から成長させてくれようとしてくれている先生方の存在は私にとって非常に大事であるし、そのような方々の期待を裏切らないことが私の使命でもあると考えている。今後努力してT字人間になりたいと思う。

また、今回B-Bridgeの桝本様からお話を伺うことが出来た。お忙しい中私のような一学生のために時間をとっていただき、非常にありがたいことであった。桝本様のお話で特に印象深かった点は、1人で行動することで度胸をつけられる、ということと、これなら絶対に勝てるという何かを持つ、という2つのことだった。

前者については誰かに頼るのではなく自分の力で成し遂げることの重要性であると理解している。現金3万円で2ヶ月ヨーロッパを一人で旅したというお話を聞いた際には本当に驚いた。沢山の苦労があったとは思うのだが、その中で成し遂げた達成感、それから得られた自信というものは今も生きているのだと思う。私は1人で行動するよりも2人で行動することが多いように思う。2人もしくは複数で行動することで得ることも多いのだが、自分には1人で行動し、度胸をつける必要があると感じている。

後者については、桝本様はNHKのど自慢で年間グランドチャンピオンになるほどの腕前であり、間違いなくこれなら絶対に勝てる、という分野である。桝本様に絶対に勝てると言えるものは何かと尋ねられたとき、私には答えを見つけることが出来なかった。これは反省すべき点であり、何か一つでも見つけられたらと思う。逆に、自分の強みを見つけると同時に弱みを見つけることで、強みはさらに磨き、弱みがコンプレックスという形になる前に対応することが大事だと感じた。


桝本様からお話を伺う中で、桝本様の人間的魅力を非常に感じることが出来た。最後繰り返しにはなりますが、桝本様、QREPの講師としてお話してくださった先生方、本当にありがとうございました。これからも今回の経験を無駄にせず、様々なことに積極的に行動してこうと思います。

                              2010.5.1